Report#25:『下引き→上引き 変換アダプター』作ってみました!


Fディレーラーのワイヤー配策が「上引き」のフレームに「下引き」のFディレーラーが
使える様に、変換アダプターを製作しました。
今回は、製作途中も紹介していますので、参考にしてみてください。
<アフター・パーツ・メーカーさんへ>

今回製作した部品も、バンド部分のみですが、図面を起こしております。
もしも『造って販売しても良いぞ!』と言う奇特なメーカ−さんがおられましたら、
図面のライセンス等の料金は要りませんので、ご連絡ください。


今回、製作したアダプターの各部の材質は、バンド部分がA1050アルミ材、
プーリー部分がA2017アルミ材、プーリーのカラーに真鍮材パイプ、
固定ネジはステンレスです。

表面処理は、ガラスビーズによるブラスト処理。

今回は、バンド部にちょっと凝りまして、ヒンジ式に設計してあります。
(ヘリオスのディレーラーステーは分割式なので、一度、挑戦してみたかったんです。笑)


「ちゃりき!」で最近流行り(?)のMTBのドロップ・ハンドル化。
これの製作上の問題は『フロントディレーラー』と『ロード用STI』の組み合わせです。

『ロード用STI』と『MTB用STI』では、ワイヤーの引き代が違います。
これはすなわち、Fディレーラーのワイヤー固定部のレバーの長さも違うのです。
ですので、単純に『ロード用STI』に『MTB用Fディレーラー』を採用すると、
Fディレーラーの作動量が足りません。

私が、今まで実践していた方法は、Fディレーラーのワイヤー固定部分に改造を施し、
ロードの引き代に合わせる物でした。(右側写真がその加工品)
これについて、シンテシの記事中で紹介した所、多くの方からメールにて、問い合わせを
いただいたのですが、メールでは確実に方法をお伝え出来ません。
また、加工技術、道具をお持ちでない方の方が多いと思いますし、変速の際の動作原理を
理解した上での、微調整スキル(メーカーのマニュアルに無い)も必要になります。。


この写真は、実際に「事務長3号車 シンテシ」に実装してテストしている物です。

今回のこの変換パーツを使えば、「上引き」のフレームに「下引き」オンリーの
ロード用Fディレ−ラーを『ポン付け(購入したまま付けれる事)』が可能になるのです。
これなら、確実に「MTBドロップハンドルへロード用STIの採用」ができると思ったのが
製作した理由です。

ここから後は、バンド部分の製作の様子を紹介してみたいと思います。


<1:材料の切り出し(写真:左)>

A1050アルミ材(純アルミに近く、柔らかい。フレームへの攻撃性を考慮)の10mm厚板に、
図面を貼付け「コンターマシン(帯ノコ盤)」で切り出します。
曲線部分は、何回にも分けてできるだけ滑らかになる様に、切ります。

<2:バンド内部の仕上げ準備(写真:右)>

裏面ノリ付きの耐水ペーパーの#240を先に製作した31.8mm用の治具に張り付け、
内部仕上げの準備をします。
なお、バンド締め部分とヒンジ部分の加工は、この段階で実施しておきます。
内側に嵌る部分は、「ボール盤」に「フライス盤用」の「エンドミル」を付けて切削加工、
外側の部分は、「コンターマシン」で小さめに切り出した後、金属ヤスリで丁寧に仕上げます。
ガタ無く、きれいに収まる様になると、ヒンジ芯の穴明け加工をします。


<3:バンド内部の仕上げ>

写真の様に、先の治具に巻き付ける様にして
内面を徐々に削り仕上げて行きます。

この際、切り出した時の内面がスムーズで
無いと、上手く削れて行きません。

有る程度削れて来ると、バンド締め用の
穴/ネジ立て加工をします。
そして、実際にバンド締めしながら、
内面がきれいになるまで、削ります。

写真左が、内部加工前の状態。「コンターマシン」で切った「ノコ目」が有るでしょ?

写真右は、内部仕上げの終わった状態。ツルツルで気持ち良い!(内部仕上げで、約60分。)
ここまで出来たら、ヒンジの芯のシャフトを適切サイズにカットして、カシメて固定します。

後は、外形部分を金属ヤスリで、好みの形状にラフに削り、耐水ペーパーで傷が無くなるまで
磨いて仕上げて行きます。最後に、ブラストを掛けて完成です。

と言った具合に、手間暇掛けてます(^^)。

<これを見て、『欲しいな!』と思った方へ>
ヒンジ式で無く、ダホンのステー(Report#21)の様な、オープン・タイプであれば、
製作いたします。価格、納期等、メールで確認ください。
(ホントは、ヒンジ式の製品化を誰かしてくれると良いのだが・・・。)

*業務多忙につき、しばらく休止いたします。