#9:SINTESI JADE改(事務長2号車)
ドロップ・ツアラー化


<新規企画:ドロップ・ツアラー化> 2004/12/01

CCTでロード車のドロップハンドルのポジションの自由度の高さを体験しましたが、
どうも700Cホイールの漕ぎの重さが気になりまして。
タイヤサイズを細くすれば、もっと軽くなるのでしょうが、私の使用状況ではちょっとね。

で、考えたのが『ランドナー』と呼ばれる自転車。
ドロップハンドルに泥よけ、そして650Bサイズのタイヤで、旅に使用する自転車です。
『ランドナー』を新規購入すれば良いのかもしれませんが、価格が高いのと、サスも欲しいので、
MTBをベースにドロップハンドル化してやれば、現代的な『ツアラー』にできるのではと
製作してみました。ベース車は事務長2号車のシンテシです。


完成したシンテシ・ツアラーです。なかなか、面白そうでしょ!
この状態で12.2kgですので、重量的にも満足できると思います。
ポジション的にはフラット・バー+バーエンド・バーの位置にSTIが来る様にしています。

FディレーラーとステムはMTB用、ブレーキはダイレクトにVブレーキと
かなり『常識やぶり』をしています。
もちろん、機能面での追求はしていますので、組付け性、操作性等の問題はありません!


ハンドル回りです。

ハンドルバーは日東のニートMod184の380mm。STIじゃない方です。
STIはSORAのフロント・トリプル。シフトワイヤーの調整部分を追加しています。
(これはjagwire社のロケットアジャスターキットを使用しました。)
これにTESTACHの補助ブレーキレバーを追加しています。
この補助レバーですが、CCTに付いているTEKTRO製よりも、
見た目は同じに見えるのですが、精度的に良いです。


前後ブレーキです。ダイレクトにVブレーキを駆動しています。

これを見て『あ〜ぁ、やっちゃってるね〜!』と思われた方がおられると思います。
でも、これ、実験の結果なんですよ!
私は基本的にSTIのブラケット部分を握って走行する場合がほとんどなので、
その場合、正規なレバー比ではブレーキ性能が物足りないんですよ。

STIにはワイヤーアジャスターが無いため、ヒラメのVブレーキアジャスターを使用しています。

*ホイールの左右の振れが0.5mm以下でないと、適度なブレーキタッチに設定すると、
ダンシング時等にブレーキシューとリムの接触が発生します。
また、補助ブレーキレバーは作動ストロークが大きいので速度調整用と思った方が良いです。

実験の結果と言ったのは、
これを使用してみたのです。
「トラベル・アジャスター」です。
ただ付けるのでは面白く無いので、軽量化と
プーリー部分のワイヤー屈曲部分を緩やかに
する改造をしています。

確かにワイヤーの引き代は調整されるの
ですが、Vブレーキのダイレクト感が
得られないんですよ。

プーリーを造り直して、変換比率を
見直してみようかとも思っていますが。


ステムは事務長1号車等々で使用している「グランジ」の「タフェックス ステム」。
『え?日東のニートってクランプ径が26mmでしょ?無理矢理?』って思われたでしょ?

実はですね、ステム側は何故かMTBのタフェックスに26mmのハンドルが収まるんです。
これに、同じ東京サンエスさんがリリースしているDixnaのクランプ部の部品を使っています。
こうすると、ちょっとだけきついですが、無理無く付いてしまうんですよ!

*タフェックス.ステムはマイナーチェンジ、モデルチェンジをしていますので、
クランプ部分が台形形状の物しか、互換性はありません!ご注意ください!!


クランクは今回の改造前と変化はありません。ペダルのみタイオガ社の御馴染みのに変更です。

さて、フロントディレーラーですが、これは改造しています。
MTBとロードのSTIでは、ワイヤーの引き代が違うんです。ですので、変速機側のレバーの
長さも違っています。
ですので、正規の動作になる様に、ワイヤーの引く支点を変更しています。
方法は簡単で、Fディレーラーのワイヤーで引くレバー部分に写真の様に貫通穴を開けています。
この場合、注意しなければならないのは、開けた穴の仕上げでして、ワイヤーが当る部分は
滑らかにしてやって、ワイヤーに損傷を与えない様にします。

こんな部品も試作してます。
今回改造した、レバー部分の
短いバージョン。
得意のジュラの削り出しです。
が、どうも、動作が今ひとつ
なんで、お蔵入りになりそう(笑)

タイヤは「パナレーサーHi-Road コンペ」。1号車と同じ物です。
全体のデザインと重量/価格のバランスからのチョイスです。

リム/ホイールの変更はありませんが、より軽量化が今後の目標です。


<完成後の感想>

いやぁ、変な物を造ってしまったかなぁ・・・(笑)。
でも、乗ってみて、ポジションは楽だし、CCTよりブレーキが良く効きますし、漕ぎが軽く
巡航スピードも十分です。予想通りの仕上がりで、かなり満足しています。
これは、これで、有りですよ!ポタリングにはもってこい、かもです。

初期計画では「Avid」社の「ボール・ベアリング・ロード」と言うSTIで引ける
ディスクブレーキ化も考えましたが、今現在、国内での取り扱いが無い為、見送ってます。
(ホイールを新調してない理由が、この為でもあるんですよ!)

今回の改造では、常識的方法外の部分が多いので、もし参考に製作される場合は、くれぐれも
自己責任でお願いいたします。
相談/アドバイスは受付ますが、この改造によるトラブル等の責任は取りませんので、あしからず!


<シンテシ・ドロップ・ツアラー 改良:1> 2004/12/12

ブレーキをディスク化するかどうか、迷っていましたが、走行テストの結果、
Vブレーキのままで行く事にしました。
この方が重量的にも有利ですし、パーツの供給の面でも有利です。

方針が決定したので、ペンディングだったホイールを交換しました。
また、Vブレーキのタッチ向上を狙って、フロントは在庫のXTに、リアはブレーキシューを
XTRの物に変更しました。

今回のイベントにも使用しましたが、軽い走行感と適度にクイックなハンドリングに大満足です。
試乗した、メンバーにも好評でしたよ。


全体のイメージは大きく変わっていません。

ホイール、ブレーキの変更結果、
ー500gの11.7kgとなりました。
車体重量はフロントサス付きとしては、
軽量の部類ではないでしょうか。
大変、気に入ってます!


ホイールは「ワールドサイクル」さんのオリジナル完組みホイールをチョイスしてます。
シマノ社のWH−M540も考えましたが、こちらの方がー161g(実測)軽く仕上がります。
デザイン的にもシルバーにしたかったのもあります。

ハブはLX(WH−M570−S)、リムはマービック社のXC717。
XTにしないでLXのハブにしたのはこちらの方が多少ですが軽い割に、価格が安いからなんです。
良くベアリング部の磨き処理が違って、ホイールの回りが違うと言われますが、ベアリング回りの
ケミカルチューンで、XTのストック同等になりますから、問題無しです。

ホイール関係で、交換前のホイールに比較してー234gの軽量化になりました。
(882g/1113g→771g/991g、共に実測。クイックを除く)


ブレーキタッチの向上をと、ブレーキシューをLXオリジナルからXTRの船式に交換しました。
ただし、私の発注ミスで1セットしか来なかったので、アラヤで昔使っていたXT(M739)を
フロントに使用、リアのみLXにXTRの組み合わせにしました。

この船式ブレーキシューですが、シュー自体の剛性が高いので、タッチが硬質になってくれます。
が、鳴きやすくなりますので、調整は確実に!
シューが減っての交換時も、ピンを抜いて入れ替えるだけですので、作業が楽です。

「トラベル・アジャスター」については、まったく必要性を感じないので、このままで行きます。


<シンテシ・ドロップ・ツアラー 改良:2> 2005/04/02

ほぼ固まっているシンテシですが、クランクを軽量な物に変更したくて探していました。
ルイガノCCTに使っている系統の「スギノ」社のRD7000が安く入手できたので、変更です。
また、フロントディレーラー、リアディレーラー、リア・カセット、Vブレーキのグレードアップ
も実施しました。


全体的なイメージの変更は有りません。
クランク変更により、ギア板歯数が50T→52Tになったのが、一番大きな外観の変更ですね。
後は、リア・ディレーラーがMTB用の「LX」からロード用の「105」に変更された事かな。
でも、ブルーグレイ色からブラックになったので、全体のイメージの完成度が上がったと思います。

この状態(サドルバッグ、ボトルは含まず)での総重量は11.3kg。満足の重量です。


クランクは「スギノ」社のRD7000。

前述の通り、ルイガノCCT導入時に全体
デザインの関係から、クランクの入れ替え
をしました。

取り付けた「XD2000」は鉄製の
ギア板だったので、軽量化の為にギア板
を探しました。

色々試しましたが、PCD110mmで
シルバーのギア板で、変速性能を満足出来る
物が無く、クランク自体の変更にしました。


フロント・ディレーラーは「シマノ」社の「LX(FD−M567)」8速用のモデルです。

変更理由は、『全体のイメージに合わせてグレードアップしたかったから』です。
所が、これを採用する前に「XT(FD−M750)」をテストしたのですが、使えませんでした。
ディファレンシャル・プレートの形状から、切削加工してもミドルギア板とのクリアランスが確保
できず、結果、この「LX」を新規入手し、切削加工(どっちにしても必要)して採用です。

でも、ひみよしさんの「K2改」に移植した、「STX−RC」の方が素直な気がするなぁ。
もちろん、きちんと変速性能は出てるので、あくまでも、フィーリングの問題ですね(笑)。


リア・ディレーラーは「シマノ」社の「105(RD−5501−GS−L)」。

「シマノ」社の「XT(RD−M750GS)」も試しましたが、52Tトリプル・クランクとの
組み合わせでは変速フィーリングが今ひとつなので、これを採用しました。

元々は「シマノ」社の「LX(RD−M570)」のロングゲージでしたので、
問題が出なかったのですが、「GS」(ミドル・ゲージ)では、チェーンの長さが苦しいので、
変速フィーリングに影響が出たのだと思います。

この部品、実はダホン・ヘリオスからの移植です。先日、製作したひみよしさんの「K2改」
「ティアグラ(RD−4400−GS)」を採用して気持ち良く変速するので、「ティアグラ」
を発注しましたが、色の組み合わせを考えた結果、「105」にしたのです。
ヘリオスには発注した「ティアグラ」を付ける予定です。

リア・カセットは「シマノ」社の「105(CS−HG70−8S)」の12−23Tに変更。
もう少しトップ近くでのギア比をクロスさせたかったのが、変更理由です。


ブレーキを「シマノ」社の「XTR(BR−M960)」に変更です。

変更理由は・・・、軽量化に少しは貢献するかなと思いました。
しかし、実態は、ヤフオクで、安く出物があったのが最大の理由かも、です。
全体への質感アップの効果も高く、もちろんタッチも最高で、気に入っております。


<シンテシ・ドロップ・ツアラー 改良:3> 2005/07/07

ロードSTIでダイレクトにVブレーキを引いていますが、長い下り坂で、レバー比の関係で
シューがリムに押し付けられる力が大きいのか、熱ダレする様です。
効きが悪くなる訳では無いのですが「ザーっ」と言う、リムを削り取る様な、あまり気持ちの
良く無い音が出るので、シューを変更してみました。

テストしたのは、

1:jagwire社のセラミック・リム用(硬い)

2:KOOL-STOP社の全天候タイプ(柔らかい)

お世話になっている「レジェロ」の店長さんに、
硬い物と柔らかい物を選んでいただきました。

熱ダレ対策として、
1:効きを落として摩擦係数を下げるか、
2:効きを良くしてダレる前に車速を落とすか、
と言う考えです。

装着走行した結果は、セラミック用。

セラミック・リムは、リムの表面がセラミック
加工される事で、アルマイト処理の物に比べて
荒らしてあるそうです。
セラミック・リム用のシューは、その為、硬く
なっているので、その分、摩擦係数が落ちて
いる訳です。
ロード用STIのレバー比で押し付けると、
ちょうど良い摩擦係数になる様です。

柔らかいタイプはと言うと、鳴きが激しく、
また、熱ダレの発生が早くなるだけでした。

硬いシューと言う事で、リムへの攻撃性が心配でしたが、装着後、500kmを越えますが
問題無さそうです。
ただし、硬さ故か、鳴き易くなりますので、リムへのセット位置を、ニップル側に近い位置に
した方が良いですね。(これは、どのブレーキでも、鳴きが消せない場合、有効な手段ですよ!)

リムへの攻撃性については、今後もテストして行きます。

ブレーキは重要保安部品です。参考にして装着される場合は、自己責任でお願いいたします。
相談/アドバイスは受付ますが、この改造によるトラブル等の責任は取りませんので、あしからず!


<シンテシ・ドロップ・ツアラー 改良:4> 2005/07/30

今回は改造と言うより、必然により発生した、「T−serv 26×1.5」のテストです。
ポタの際に発生した、リアタイヤの内部カーカス断裂に因り、リアタイヤの交換が必要になった
のですが、05年5月をもって、「Hi−road コンペ」は生産終了になっていたのです。

これが、内部カーカスの断裂です。

見事にスッパリと切れてます。
こうなるとタイヤの表側がコブ状に膨らみ、
変な振動ですぐに解ります。

ナショナルタイヤ(株)品質保証部によると、
製造上の何かが起因しているそうですが、
非常に稀な事例だそうです。
原因究明の為、現物を送り返します。
詳細に原因解明するそうです。


内部カーカスの断裂したタイヤは、すでに走行1000kmでしたので、新品を発注しました。
ですが、ここで問題が発生。一部リムへの納まりが悪いのです。

左の写真の様に、一部リムからのビード端の距離が8mmくらいあり、タイヤを回転させると
そこだけ膨らんでしまうのです。ビード部分を見ると、形状が異常でした!

実は、今回、ナショナルタイヤ(株)殿に「不具合報告」したのはこちらがメインでした。
交換品を手配発送するとの連絡を受けたのですが、すでに製造終了の為、在庫も無く、
代替え品として「T−serv」を1組提供していただきました。


「T−serv」装着の図。

う〜ん、どうもタイヤが真っ黒になった分、
重そうなイメージに・・・。
タイヤのサイドがアメ色の方が良かったかな。

重量も「Hi-road コンペ」の380gに対して
420gと+40g増です。

使用空気圧は「Hi-road コンペ」の85psi
から65psiと低くなりました。
これはタイヤのケーシング剛性の違いによる
ものの様です。


「T−serv」の外観です。トレッドパターン自体は「パセラ」と変わらないみたいな感じです。

実際に走行しての感じは、使用空気圧が低い事による腰砕け感は無く、段差の吸収性も良いです。
ですが、旋回初期時にフロントタイヤのグリップが曖昧な感じがするのが、スリックとの違いです。
これは、サイド部分トレッドパターンが細かく、表面剛性が無い為と思います。
ちょうど、クルマでスタッドレスに替えた時の違和感に近いと言えば理解いただけるかと。
あくまでも慣れの問題なので、このまま使って様子を見て行きます。


「ナショナルタイヤ(株)」殿の対応について。

今回、不本意ながら、この様な記事を掲載する事になりましたが、「ナショナルタイヤ(株)」の
全ての製品の品質が悪いのではありません。
このサイトを見ていただいている方は御存知でしょうが、今までも多くのメンバーが使用して
いますが、問題発生は無いのです。くれぐれも誤解の無い様に、明記しておきます。

それより、特筆したいのは「ナショナルタイヤ(株)」殿の対応です。
こちらからの不具合報告に対して、スピーディ且つ、親切丁寧な御対応をしていただきました。
我々ユーザーに取って、これが一番のサービスであり、メーカーへの信頼だと思います。
私は、これからも安心して、メンバーに紹介して行きます。

今回、生産終了となった事に対して、このサイズのタイヤ開発に関してお聞きしたのですが、
ツーリング車復活のきざしも有り、26×1.5のバリエーション再考のプランも有るそうです。
国内に製造拠点を置いている唯一のメーカーとして、頑張っていただきたいですね。